1月 7日 特許出願から1年が経つ旨のご連絡(国内外優先権期限の到来のお知らせ)
1月14日 出願審査請求をしたい旨の依頼
1月17日 出願審査請求、早期審査に関する事情説明書の提出
3月 1日 拒絶理由通知(1回目)の到着
3月18日 弊所にて、拒絶理由通知の対応をどうするか打ち合わせ⇒弊所に対応を一任される
4月 4日 意見書、手続補正書の草案を作成し、電子メールにてチェック依頼
4月 6日 チェック結果到着、意見書、手続補正書を特許庁に提出
6月 7日 特許査定の通知
本件は早期審査制度を利用しましたので、審査期間が2月程度と通常より相当短いです。ちなみに、中小企業、個人が出願人であれば、早期審査制度を利用することはそうハードルが高いことではありません。
話しは変わって、初めて本件の拒絶理由通知を読んだ時の感想ですが、「この審査官は厳しい見方をする人だな」というものでした。お客様に反論点をどうするか相談しましたが、「お手上げだ」とのことでしたので、私が反論点を原案から練り上げることになりました。そこで、役に立ったのが、上記「意見交換の議事録」です。ここに、既存技術との差異が2点、書き出されていたのです。意見書、手続補正書では、思い切ってこの2つの論点に賭けてみることにしました。
すると、意見書・手続補正書の提出から1~2月が経ち、特許査定(特許登録を許可する旨の通知)が届き、お客様とホッと胸を撫で下ろしたという一件です。
6月21日 特許出願と同時に出願審査請求。
会社設立後、数年しか経っていないので、審査請求料の減免も申請。
早期審査に関する事情説明書も提出。
8月21日 特許査定の通知(なんと、拒絶理由通知なし!!)
お客様は、なるべく自社システムについて出願公開したくないというニーズをお持ちでした。そうであればということで、出願と同時に、早期審査制度を利用した出願審査請求を行うことをご提案しました。こうすれば、特許が取れた場合は問題なし、仮に特許が取れない場合は、出願公開がなされないので、自社ノウハウを明かさないというにお客様のニーズを満たすことができるのです。ちなみに、特許出願は出願から1年6月が経つと、自動的に出願内容が公になってしまうのですが、この出願公開の準備に入る時期(出願後1年4月後ぐらい)までに対象案件の拒絶査定が確定していれば、出願公開はされないのです。これを知っておくと便利ですよー。
また、本件はビジネスモデル特許ですから、審査において厳しい戦いを強いられると覚悟していましたので、拒絶理由通知なしに1発で特許査定がでるとは本当に驚きでした。おそらく勝因は、先行技術調査をやって、先行技術との差異を明確にした状態で、特許出願を行ったことにあるのでしょう。「先行技術調査は重要である」と改めて感じさせてくれる1件でした。
もう一つ、本件には驚きの事実があります。実は、このお客様、本件「特許が取れた技術」に「付随する技術」についても特許を取りたいと当初から望まれていたんです。しかし、この「特許が取れた技術」がすんなり特許になるかどうかの事前の保証はありませんので、私は、将来の修正余地として「付随する技術」について、後に分割出願できるような状態にした上で、1つの特許出願に盛り込むことを提案しました。
そして、予定通りというか、想定以上に順調に本件特許が取れましたので、この「付随する技術」を分割出願したところ、なんと、これまた拒絶理由通知なしの1発特許となったのでした。
本件は、案件の内容が難しくやりがいがあったのと同時に、出願戦略面でも弁理士としていい仕事ができたんじゃないかなあと自画自賛してしまう一件なのでした。