特許法による保護対象と実用新案法による保護対象は非常に似通っているため、実用新案権と特許権とはほぼ同じような内容であると言っても良いと思います。
しかし、法律が別々に用意されているということは、当然に両者には相違点があるということであり、その点に留意する必要があります。
そこで、実用新案登録のメリット・デメリットについて、特許と対比しながら解説したいと思います。
特許権は、登録前に審査官による審査が行われるのに対して、実用新案権は、登録前、書類形式の不備をチェックする方式審査は行われますが、特許のように審査官による実体的な内容についての審査は行われません。
従って、弁理士が実用新案登録出願を行えば、ほぼ100%、実用新案権は登録されます。特許のように、「出願したけど登録されませんでした」という、結果物が何も残らないという事態はありません。弁理士が実用新案登録出願をすれば、実用新案権が手元に残ります。
実用新案登録の費用はこちらでご確認ください。
上記のように、弁理士が実用新案登録出願を行えば、ほぼ100%、実用新案権は登録されます。
従って、製品パッケージなどには、必ず「実用新案登録第○○○○○○○号」と記載することができます。
一般消費者に対し、製品パッケージ上における「実用新案登録第○○○○○○○号」との記載は、一定の宣伝広告効果が期待できるものと思われます。
特許は、早期審査制度を活用すれば話は別ですが、通常、出願から数年待たないと権利は発生しません。
弁理士が実用新案登録出願を行えば、通常、書類形式に不備は有りませんので、実用新案登録出願後、約2月もすれば実用新案登録証が特許庁から送られてきます。つまり、実用新案登録出願後、約2月もすれば、実用新案権が設定登録されます。
すると、製品パッケージなどには、実用新案登録出願後、約2月で、権利番号を記載することができます。
後述するように、実用新案権の権利行使には、特許権には無い、制約があります。
しかし、実用新案権にも、差止請求や損害賠償請求が認められていることについては、特許権と大きな違いはありません。
従って、想定する競合他社が、知的財産権制度に不慣れな中小企業等である場合、そう簡単に実用新案権の対象である製品の模倣はできないと思います。ただし、この想定する競合他社が、自発的に実用新案権の存在に気付いてくれないといけません。
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実用新案権と特許権との大きな相違点は、権利行使時にあると言えます。その背景には、特許権は、特許庁による審査を受けた後付与されるため、しっかりとした強固な権利であるのに対し、実用新案権は、出願すれば実体的な審査無しで取得できる権利であるため、安定性の低い権利であるということがあります。
従って、実用新案権者は、特許庁から実用新案技術評価書というものを入手した上で、権利行使を行う必要があったり、その他にも幾つかの制約が課せられているので、実用新案権の権利行使は非常に厄介です。
競合他社への権利行使を念頭に入れている場合、実用新案登録ではなく、特許による自社製品(アイデア)の保護をお勧めします。
実用新案登録出願当初の目的が変化し、競合他社への権利行使を想定する場合もあるでしょう。幾つかの条件は課されるのですが、そういった場合には、実用新案権に基づく特許出願を行うことができます。簡単に言うと、実用新案権を特許出願に振り替えることができます。
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